コンタクトレンズを愛用している人なら気になる問題です。
日常生活の中で「通勤途中の電車の中でうたた寝をしてしまった」「お酒を飲んでそのまま寝てしまった」など、誰にでもありがちですが、基本的な考え方としてはやはりコンタクトレンズを着けたままの睡眠は「NG」です。
以下その理由を考えていきたいと思います。
人間の目の本来の姿
「人間の目=黒目=角膜の上には何もない」というのが本来の状態です。

角膜にしてみれば、「大気中の酸素を沢山取り込んで」「涙液中の酸素も取り込んで」・・・通常はそのような状況で角膜は健康な状態を維持しています。角膜にしてみれば一番快適な状態です。
睡眠中は?
それでも睡眠中は目を閉じますから「大気中の酸素はシャットダウン」され、「まばたきをしなければ酸素を含んだ新鮮な涙も循環しない」ですから、その場合には、まぶたの裏側の血管から酸素を取り込んダ利して酸素不足の状態を凌いでいるわけです。
でも酸素の供給量は開瞼時の約3分の1にまで減少すると言われています。
つまり私たちの角膜は、上に何も乗っかっていなかったとしても睡眠中の角膜はいつもより酸素不足状態になっていることがわかります。

角膜の上にコンタクトレンズを装用するということ・・・
もし角膜の上に、いくら性能の優れたものとはいえ異物が乗っかったとしたら、仮に起きている時だとしても酸素が角膜に行きにくい状態になることがわかります。私たちもマスクをしていれば「息苦しさを感じる」のと同じです。
ただ、現在市販されているコンタクトレンズはいずれも、十分な酸素透過性を有し、素材的にもとても優れた素材を採用していますので、装用時間を守り、正しく使用する分にはほとんど問題が発生するようなことはありません。
正しく使用する分と言うのは「コンタクトレンズ装用中は寝ない」「装用時間を遵守する」ということですね。
角膜は酸素不足になるとどうなる?
酸素不足の状態が続くと、細胞の新陳代謝が阻害されて角膜にむくみが生じてきます。このような状態は「角膜浮腫」と呼ばれており、傷つきやすく、感染症のリスクが高まってきます。
例えば指をちょっとケガして絆創膏を巻いた経験は誰もがあると思いますが、1~2日程度外さずに置いておいたら・・・皮膚は白く浮腫み、皮膚の表面がかぶれたり剝けてしまったり・・・それと同じです。
角膜には、痛みを感じる知覚神経が豊富に分布していますのでもし傷が付いてしまえば、痛くてコンタクトレンズの装用は困難で、治療しなくてはなりませんので、返って不自由な生活を余儀なくされてしまいます。

しかしそれを放置したり、我慢して無理な装用を継続していると中には角膜潰瘍など重篤な状態になり、視力障害を引き起こすこともありますので、注意が必要です。