乱視用コンタクト (ハードタイプ)
ハードコンタクトは、元から持っている素材の硬さと形状で乱視の矯正力があるレンズです。
ここでご紹介するハードタイプの乱視用コンタクトは通常の乱視の矯正力のあるハードコンタクトとは少々異なるレンズになります。
乱視用ハードコンタクトの事をご理解いただくためにもまず初めに、下記のコラムをご覧頂けたらと思います。
ハードコンタクトレンズのメリット・デメリットはこちらをクリック!
乱視用ハードコンタクトとは?
何故、乱視のある人はハードレンズの方がおススメなのかと言うことはご理解いただけましたか?
黒目の歪みが乱視で、その歪みの上に硬い丸いレンズを乗せることで乱視が矯正できることを書きました。そしてその隙間は涙が埋めると。
ところが中にはその歪みの程度が強い方がいらっしゃいます。歪みが強過ぎると問題になってくるのは目の上でのレンズの安定性です。
丸い部分に丸いものを乗せれば落ち着きもいいし、落ち着きが良ければ、ズレやハズレの可能性も低く、異物感があってもそれは少なくて済みます。しかし歪みが強い部分に丸いものを乗せればそれだけ安定性も悪く、異物感も強くなってきます。
そのためそのような歪みの強い人用にレンズの内面の曲がり具合を本人の黒目の歪み具合に近付けたレンズを使う訳です。それが通常タイプのハードコンタクトとは異なる乱視用のハードコンタクトです。
一般的には通常のハードコンタクトでもかなりの乱視矯正力はありますので、使う人はまだまだ少ないのが実情です。
バックトーリックタイプ
通常のハードコンタクトレンズのカーブは丸い、球面の形状をしているので、BC(レンズの曲がり具合)の数値も一つしかありませんが、バックトーリックタイプは黒目の歪みが強い人に対して目の表面のゆがみとレンズの裏面をしっかりと合わせることで、丸い球面のコンタクトレンズより収まりやすくなり、装用感も改善されます。また視力矯正の効果や安定性がアップします。従ってバックトーリックタイプのハードコンタクトにはBCが2種類存在します。
フロントトーリックタイプ
人間の目は構造的にもよく「カメラ」に例えられます。では「カメラ」で言うところの「レンズ」に該当する部分はどこになるのでしょう?それが「角膜」と「水晶体」なんです。「角膜」と「水晶体」はともに目の表面と目の中で、共に光を屈折させるレンズの役割を果たしています。
黒目は真ん丸ではなく、歪んでいます。だから黒目を通る光は入ってくる方向によって曲がり方が異なります。しかし「水晶体」も実は黒目と同様、縦の曲がり具合と横の曲がり具合が異なっています。つまり乱視は黒目だけではなく、水晶体にも存在しているんです。それぞれ「角膜乱視」「水晶体乱視」と呼ばれていて、この2種類の乱視が重なり合ってその人の乱視が形成されていることになります。
簡単に言えばこういうことです。
①角膜乱視1+水晶体乱視1=乱視2
②角膜乱視2+水晶体乱視0=乱視2
③角膜乱視0+水晶体乱視2=乱視2
④角膜乱視4+水晶体乱視-2=乱視2
①~④まで誰もが乱視2となっていますが、それそれ乱視のタイプが異なります。
ハードレンズには乱視の矯正力があります。では4人にハードレンズを装用させたらどうなるでしょうか?
ハードコンタクトは乱視の矯正力はありますが、ハードコンタクトが矯正できるのは、黒目にある歪み、つまり角膜乱視であって目の中にある水晶体乱視は矯正することができません。
そのため同じ乱視2の4人にハードコンタクトを入れた場合、いちばん効果的なのは、角膜乱視に一番影響を受けている②の人と言うことになります。②のタイプの乱視の人はハードコンタクトを装用するととても良好な視力を得ることが可能です。
一方真逆なのは③のタイプ。ハードコンタクトが矯正できる角膜には乱視がありません。ですから水晶体乱視に影響を受けている③のタイプの乱視の人にはハードコンタクトはあまり役には立ちません。
フロントトーリックタイプはそのようなタイプの人が装用するハードコンタクトです。黒目には大きな歪みはない訳ですから、フロントトーリックタイプタイプの内側のBCは球面の形状をしています。
このように概ね、ある程度の乱視までは、通常のハードコンタクトで十分対応ができますが、歪みの度合いが強く、通常のハードコンタクトでは安定した矯正が出来ない方が乱視用ハードコンタクトと言う特殊デザインのハードコンタクトを使用することになるのです。