コンタクトレンズのSPHとは?
SPHは、Sphereの略称で、近視や遠視を矯正するための度数を表すものです。球面度数と呼ばれています。
「コンタクトレンズのPWRとは?」で度数には近視の目を矯正するマイナスレンズ(一般的には凹レンズと呼ばれています)と遠視の目を矯正するプラスレンズ(一般的には凸レンズと言われています)の2種類があると説明しました。
近視を矯正するレンズの事を例えば、「SPH-3.00D」と言うように表記します。3.00は度数の強さを、Dはレンズの屈折力の単位を表しています。さらに略して「s-3.00D」などとも表記します。カラコンで目の悪くない人が使う場合は「SPH0.00」という表記になります。
近視を矯正する球面レンズは数値が大きくなればなるほど「度数が強い」=「目が悪い」ということになります。
一方で遠視を矯正するレンズは、例えば「SPH+2.00D」「S+2.00D」などと表記します。
球面レンズの特徴
球面レンズは読んで字のごとく球面の形状をしており、縦方向、横方向、斜め方向、どの方向にもおなじ度数が均等に入っているレンズです。そのためレンズの向きが変わっても基本的には見え方に変化はありません。
球面レンズによる近視矯正
これは目のいい、つまり正視の人の目を図にしたものです。0の部分が網膜です。縦の光も横の光も網膜上で結像、焦点を結んでいるため、視力は良好です。従ってコンタクトレンズやメガネによる矯正は不要です。
近視の人はこのような状態になります。
正視の人の図と比較すると、網膜よりも1つ分手前で焦点を結んでいます。焦点を結んでいるということは、青色の縦の線も赤色の横の線も同じ分だけ網膜から離れているということです。なので両方とも同じ1つ分を網膜に近付けてあげればいい訳です。
そこでどの方向にもおなじ度数が均等に入っているレンズ、「球面レンズ」を使用して矯正します、矯正するレンズは「SPH-1.00D」と言うことになります。このレンズを目の前に配置することにより、網膜の前方で焦点を結んでいたものが網膜上で焦点を結ぶようになります。
球面レンズによる遠視矯正
遠視の場合は正視の人の図と比較すると、網膜よりも1つ分後方で焦点を結んでいます。近視と同様で青色の縦の線も赤色の横の線も同じ分だけ網膜から離れているということです。ただその焦点を結んでいる位置が網膜より後方という点が異なるだけです。なので両方とも同じ1つ分を網膜に近付けてあげればいい訳です。従って矯正するレンズは「SPH+1.00D」と言うことになります。このレンズを目の前に配置することにより、網膜の後方で焦点を結んでいたものが網膜上で焦点を結ぶようになります。
レンズパッケージへの表記
では、実際にどのようにレンズのパッケージに表記されているのでしょう?
こちらを見ていただくとわかる通り、SPHを「PWR」「P」「D」と記載されています。
●業界最大手のジョンソンエンドジョンソンのレンズは「SPH」を屈折力の単位である「D」と表記しています。
●コンタクトレンズ通販で人気のアイレのレンズは「PWR」の頭文字の「P」と表記しています。
●ボシュロムのレンズはそのまま「PWR」と表記しています。
他メーカーのレンズの度数表記も上記の3パターンのいずれかに該当しています。
近視や遠視を矯正する単焦点レンズの場合、「SPH」と表記しているレンズは皆無かも知れません。
PWR(度数)には「近視や遠視を矯正するSPH(球面レンズ)」と「乱視を矯正するCYL(円柱レンズ)」に分かれます。そのため近視を矯正する度数しかない単焦点レンズの場合、敢えてSPH(球面度数)と表記せずに「PWRあるいは略してP」で表記しているものと思われます。
乱視用コンタクトの場合はSPHとCYLが両方記載されることになるので必ずそれがわかるように表記されています。
CYL(円柱レンズ)に関しては「コンタクトレンズのCYLとは?」をご確認下さい。