シリコーンハイドロゲル素材のこと
シリコーンハイドロゲル素材の歴史
2004年にアルコン(当時のチバビジョン)が日本国内で初のシリコーンハイドロゲル素材を使用したマンスリータイプの「O2 オプティクス」を発売しました。
なので国内ではシリコーンハイドロゲル素材ももう20年の歴史があるということになります。
その後、ワンデーとしては初のレンズをジョンソンエンドジョンソンが発売しました。それがお馴染みの「ワンデーアキュビュートゥルーアイ」です。
シリコーンハイドロゲル素材は、現在のソフトコンタクトレンズの素材の中では酸素透過性の非常に高い素材として人気が出てきています。
従来のソフトコンタクトレンズの素材の多くは「ヒドロキシエチルメタクリレート (HEMA:ヘマ)」と言う素材を採用しています。
HEMAはハードコンタクトの素材とは異なり、水分を含んでいる素材で、その水分中に含まれている酸素を取り込み黒目(角膜)は呼吸をしています。
従ってその水分を含む割合である含水率が高いほど酸素透過性の高いソフトコンタクトレンズと言うことになります。
しかし、一般的に含水率は高くすればするほど長時間装用時の乾燥感であったりレンズの汚れやすさと言う点でデメリットが発生してきます。
つまり「酸素を多く通すこと」と「乾きにくく強度があること」の2点を両立させるのは困難とされてきた訳です。
シリコーンハイドロゲル素材とは?
シリコーン素材は水よりも酸素透過性が高いため、含水率が低くても酸素供給量を増すことができます。含水率が低いということは乾燥感も小さく、汚れが付きにくいということです。
今迄、困難とされてきた「酸素を多く通すこと」と「乾きにくく強度があること」の2点を両立させたわけです。
しかしシリコーンハイドロゲル素材にも欠点がないわけではありません。
シリコーンハイドロゲル素材は一般的にやや硬いと言うかコシが強いと言われていますので、高含水率レンズを調子よく使用していた人は場合によっては異物感を感じるかもしれません。
またシリコーンハイドロゲル素材は脂質との親和性が高い為、脂質汚れが付きやすいと言われています。中にはそれらの汚れが付きにくいようにコーティングが施されているレンズもありますが、何も施されていないレンズに関してはメイク汚れなどが付きやすいかも知れませんね。
何故、眼科の先生はシリコーンハイドロゲル素材を推奨するのか?
コンタクトレンズの装用によって一番問題になること、それは黒目(角膜)への酸素供給量が減ってしまうということです。
本来、人間の黒目には異物など何も乗っていないため、大気中の酸素や、涙の中の酸素を十分に取り込むことができるわけです。
そこにどんなに性能の優れた素材でできているとは言え、異物を乗せるのです。いやでも黒目に対する呼吸は妨げられます。
角膜障害の中で最も多いのは、角膜上皮障害です。角膜上皮障害は、コンタクトレンズ装用者に最も多くみられ、目のこすり過ぎや異物、またはコンタクトレンズの装用過多なども原因として挙げられます。
同じコンタクトレンズを装用するなら、酸素透過性に優れた素材を採用したいというのが先生方の考えなのでしょう。
シリコーンハイドロゲル素材のレンズは誰にでも優しい?
眼科の先生方がシリコーンハイドロゲル素材を推奨しているため、コンタクトレンズの市場の中でシリコーンハイドロゲル素材の人気が高まっているのは事実です。
ただ一方でグループⅣの高含水率のレンズやグループⅠの低含水率素材のレンズも根強い人があります。
コンタクトレンズの装用感や乾燥感の感じ方の程度、汚れ具合は本当に個人差があり、全てが理屈通りではいかないというのが、多くのお客様の話に耳を傾けた結果です。
理屈通り行くならば、シリコーンハイドロゲル素材のレンズが「一番優れたレンズ」となるのでしょうけど、眼科の先生の勧めでシリコーンハイドロゲル素材のレンズを購入したものの「乾燥する」「異物感が強い」「値段が高い」などの理由でシリコーン素材のレンズからドロップアウトしている人がいるのも事実です
コンタクトレンズを購入するにも予算が掛かります。
「値段の高いレンズは良いレンズ」「安ければ悪いレンズ」ではありません。眼科で検査を受診し、安くて、自分に一番合った,使い勝手のいいレンズを装用すること大切です。目にとって安心安全なレンズであれば、あとはコンタクトレンズと装用する方の目との相性の良し悪しが一番大切なのかもしれませんね。
シリコーンハイドロゲル素材を採用しているレンズ
今やシリコーンハイドロゲル素材を採用した商品は、ワンデータイプ、2ウィークタイプ、マンスリータイプ、乱視用コンタクト、遠近両用コンタクト、カラコンに至るまで販売されています。
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